年末や確定申告の時期になると、「源泉徴収」という言葉を聞く機会が多くなるのではないでしょうか。キャバ嬢も、源泉徴収と無関係ではありません。正しい納税のために、源泉徴収について知識をつけておきましょう。
そもそも、源泉徴収って?
源泉徴収は、会社員などが所得税を納税するときの制度です。本来、日本の所得税は個々人が収入を計算して納税する「申告納税方式」が採用されています。しかし、これがなかなか大変なものなので、会社員などの場合は会社が社員の所得税を計算し、給料から差し引いて代わりに納めてくれています。これが、源泉徴収です。
キャバ嬢は会社員じゃないから、源泉徴収は関係ない?
源泉徴収は、基本的には社員の給与や賞与に対して会社が行うものです。とすれば、キャバ嬢には関係ないことのように思えてしまいますね。しかし、国税庁のサイトでは「バーやキャバレーの経営者が、そこで働くホステスなどに報酬・料金を支払う場合」には、「所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません」と明記されています。
つまり、もうすでに所得税を払っているということ
キャバ嬢などナイトワークの女性に支払われる報酬は、お店がすでに所得税を差し引いた金額です。お店は、差し引いた所得税を翌月に納税します。つまり、あなたは毎月所得税を納めていることになるのです。
ちなみに、月収が100万円以下なら所得税は10.21%です。このうち10%は所得税で、0.21%は復興特別所得税です。キャバ嬢の場合は一日当たり5000円が控除されるため、【(一ヶ月の報酬金額)―(勤務日数×5000円)】×10.21%を支払っています。
もう税金を払っているんだし、確定申告はしなくていい?
すでに所得税を納めていると聞くと、「じゃあ、春にみんなが面倒そうにやっている確定申告はしなくていいってことだよね」と思うのではないでしょうか。その考え方は、基本的には正しいですが、なかには確定申告をした方がいいケースもあります。
確定申告をした方がいいケース
年間の医療費が10万円を超えた場合
1月から12月までに病院で支払った金額が10万円を超えている場合、超過した分の金額に対して課された税金が還ってきます。これを還付金といいます。かかった金額が15万円、20万円だったら還付金は微々たるものですが、歯の治療をした人などは、一時的にかなりのお金を費やしていると思います。
注意したいのが、審美のための出費は医療費にカウントされない点です。見た目に問題がないのに行った整形や、ホワイトニングは対象となりません。ただし、事故などによる見た目の著しい損傷を修復する整形や歯の復元なら、対象になります。
タクシー代や衣装代などの持ち出しが多いと感じる場合
貸し衣装や送迎代は給料から差し引かれるとしても、仕事のための出費が多いのがキャバ嬢の特徴です。お店でしか着ることのないドレスを自前で買ったり、同伴にかけつけるためにタクシーを使ったりして、出費にため息をついていませんか。領収証やレシートを取っておけば、それらはすべて経費になる可能性があります。
業務を遂行する上で必要不可欠であり、妥当な金額であれば認められるのが経費です。確定申告をする際に経費を計算し、控除額として所得から差し引けば、税金が戻ってくる可能性が高まりますよ。
副業としてナイトワークをしていて、会社バレが怖い場合
本業の給与所得が主な場合、キャバ嬢としての副業収入が年収で20万円を超えるなら、確定申告をしなければなりません。また、住民税が本業の給料から天引きされているという人はとくに注意が必要です。
住民税は、本業の所得と副業の所得の合計金額に対して課されます。よって、支払わなければならない住民税の額が給与に対して多すぎると、「この人、どうしてこんなに住民税を払うのかしら?」と疑問に思われてしまうのです。
これを回避するためには、確定申告を行い、申告書の「給与所得以外の住民税の徴収方法の選択」という部分で「普通徴収(自分で納付する)」を選択する必要があります。
2000万円以上の年収がある場合
サラリーマンであっても、2000万円以上の年収があれば確定申告をしなければならないと定められています。会社で年末調整をしてもらえないためです。キャバ嬢であっても、年収が2000万円以上ある場合は税理士をつけるのがおすすめです。
高収入なうえに確定申告を怠っていると、多額の未納分を請求されてしまう可能性があります。ある日税務調査が入って、100万円単位での未納額があるなんて言われてしまったら困りますよね。税金だけは、自己破産しても免れない国民の義務です。支払いに不足のないよう、きちんと専門家に相談しましょう。
まとめ
ナイトワークをしている人は、お店側があなたのかわりに所得税を払ってくれています。もしも確定申告を自分でしたいと思ったら、年末までにお店に相談し、源泉徴収票をもらいましょう。なるべく経費を多く申告できるよう、日々発生する領収書をきちんと取っておくことも重要です。